引っ越し前前夜
ありがたいことだ。
3年間も一緒にいて、今も目を見て話せる人が、3人もいるなんて。
本当に、ありがたいことだ。とても楽しかった。
高田馬場で飲んだ時間が、とても愛おしかった。
愛おしかった。
また帰ってこれる。もっとよくなって、帰ってこられる。絶対に、帰る。
引っ越しが、すぐ近くになった。
この家に、いつ帰るかは分からないのだ。
留学の時のように、必ず1年後には帰ってくるのとは違う。
寂しい。怖い。時間が過ぎないでほしい。
「その時が来る」という感覚が、ひたひたとくる感覚が、「終わり」が。
その「タイミング」は、来てしまうのだ、遅かれ早かれ。
今、その「タイミング」が、「変わるタイミング」が、のど元に突き付けられている。
そして、「変化」がのど元を通り過ぎるには、しばらく時間がかかるのだろう。
面倒だ。怖い。嫌だ。不安だ。ここにいたい。変わりたくない。4月になっても父母のご飯が食べたい。お金の不安を突き付けられたくない。家事をするのは大変だ。仕事の負荷と一人暮らしの負荷を捌ききれるだろうか。
^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^
俺は、どんな30代になりたい?どんな40代になりたい?
人間の真価が、人格の真価が否応なく試される境遇に立たざるを得なくなった時、俺は、どんな人間でありたい?
人間の真価は、30代、40代には、じわじわと外にまで滲み出てくると、人は言う。
俺は、どんな価値を、外側に滲ませる人間でありたい?
怖い。でも、少し、前を向こうと、思うのだろうか。